インドへの誘い


インド。それは人間の森。

木に触れないで森を抜けることができないように、
人に出会わずにインドを旅することはできない。
インドにはこういう喩えがある。

深い森を歩く人がいるとしよう。
その人が、木々のざわめきを、
小鳥の語らいを心楽しく聞き、
周りの自然に溶け込んだように自由に歩き回れば、
そこで幸福な1日を過ごすだろう。
だがその人が、たとえば毒蛇に出会うことばかりおそれ、
歩きながら不安と憎しみの気持ちを周りにふりまけば、
それが蛇を刺激して呼び寄せる結果になり、
まさに恐れていたように毒蛇に噛まれることになる。

インドは「神々と信仰の国」だという。
また、「喧噪と貧困の国」だともいう。

だが、そこが天国だとすれば、
僕たちのいるここは地獄なのだろうか?
そこを地獄と呼ぶならば、ここが天国なのだろうか?

インドを旅するキミが見るのは、
天国だろうか地獄だろうか?

さぁ、いま旅立ちの時。
インドはキミに呼びかけている。
「さぁ、いらっしゃい!私は実はあなたなのだ」


地球の歩き方 インド』